つい最近まで、女性がひとりで家をもつって
ごく少数派で、ちょっと変わってると思われていた。
マイホームをもつことは、家族の幸せと考えられていた。
いったい誰がそんなことを決めたんだろう。
女性が家をもつって、あんがいあたりまえじゃない?
そんな声が聞こえてきそうなほど、
今、ごくフツーの女子たちが、じぶんの家を買う時代になっています。
家というホームグラウンドを手に入れ、
これまで以上にパワフルに、イキイキと輝いてる「モチイエ女子」。
そんな新しい女性たちが増えれば、この国はもっともっと元気になるから。
なによりそんな未来が、素敵でおもしろそうに思うから。
私たちはこの「モチイエ女子project」を通し、
その生き方、あり!と宣言します。
モチイエ女子webにて、エッセイなど多数寄稿いただきました 雨宮まみさんがご逝去されました。心からお悔やみを申し上げます。 感謝と哀悼の意を込めまして、これまでの雨宮さんの作品、およびご出演いただいたコンテンツは、このまま掲載させていただきます。 どうか、ご愛読いただけますと幸いです。
去る2015年9月、表参道・スパイラルホールで「女子103人でおうちのこと考えてみよう会議」が開催されました。ゲストにはジェーン・スーさんと雨宮まみさん。会場に集まった方とともに、「女子とおうち」についてワイワイとトークを繰り広げました!
イベントの第一部では、モチイエ女子webのコンテンツ「女子イエナカ研究所」のスピンオフとして、おうちについてのリアルタイムアンケートを実施しました。「買ったお惣菜は『パックからそのまま食べる派』58.5%」など、普段は知ることのできない、女子のリアルなイエナカ事情が明らかに。第一部の最後には「自分の家で過ごす好きな時間」をテーマにグループワーク。「ベッドで猫と添い寝」「好きなアイドルのライブDVDを観ながら断捨離」「ガスコンロの五徳を磨く」など、自分の素を出せるおうちならではの過ごし方には、ゲストのお二人からも「いいですねえ~」「なるほど」という声があがりました。
第二部では、ジェーン・スーさんと雨宮まみさんによるトークショー。「女子とおうち」の視点から、生き方、暮らし、モチイエって実際どうなの…?まで赤裸々なトークに、会場は大爆笑と共感の声でいっぱいに。内容もりだくさんの楽しくてにぎやかなおうち会議、モチイエ女子webでは第二部でおこなわれたトークショーの全貌をレポートします!
レポート「後編」はこちら >司会 今日はみなさんと一緒に「女子とおうち」の関係について考えていきたいと思います。第一部のリアルタイムアンケートで、「みなさんはどのタイプに当てはまりますか?」という質問をしましたが、会場には「賃貸一人暮らし」の方が一番多かったです。お二人はどうなのか気になるところです。
ジェーン・スー(以下、スー) わたしは賃貸一人暮らしですね。
雨宮まみ(以下、雨宮) わたしも賃貸一人暮らしです。
司会 お二人とも大多数のところに。意外といえば、意外な部分もありますけどね…?
雨宮 (スーさん)持ってそうですよね~(笑)。
スー いや~、ローン組めないですからね。友達で、30歳ぐらいでマンション買った人が何人かいるんですが、「今までで一番いい買い物した」とは言っていますね。好きな言葉は“繰り上げ返済”って(笑)。これまであまりよくわかってなかったんですけど、賃貸で借りるより広い部屋に住めるんですよね、買った人って。
会場(どよめき)
司会 スーさんはもう家は買わないっていう選択肢なんですか?
スー わたしは今42歳なんですが、わたしのニワカ情報によると、オリンピックの後、都内のマンションの値段が下がるらしいので。それを狙うかっていうところなんですけど。じゃあ、そのときどんな物件を買うのかだとか、転売できるところを買ったほうがいいんじゃないか、とか。ちょっとかなり夢のない話なんですけど…。モチイエ女子にはまだまだ憧れますよ。
司会 雨宮さんも賃貸一人暮らしとのことで、その理由は?
雨宮 まぁ、ローン通らない問題があって…。ちょっと欲しいなというのはあったんですけど。あまり最初は考えてなくて、モチイエ女子の連載(「理想の部屋まで何マイル?」)始めてからマンションギャラリーの見学をしまして、すごいんですよ、マンションギャラ リー。スペクタクルで家を推してくる。実際にギャラリーに入るじゃないですか、で、いろんな説明がありますよね。まずイメージムービーみたいな、そこに住んだらどんな暮らしができるかというのをドラマ仕立てで見るんですよ。いい感じの河川敷とかあって、素敵だな~ってムービーが終わったら、スクリーンがパーっと上がって、その後ろにある壁がパカーっと割れて、そこにタワーマンションの模型がどーん、と(笑)。
スー す、すごい。
雨宮 わーっとなって、大変だぁ、と。
司会 一気に夢が拡がってそこで掴みたくなっちゃいますね!
雨宮 自分が、今どこにいて、なにをしてるのかわからなくなりましたね。買ってもいいのかな?みたいに思っちゃう。
司会 ちなみに具体的に検討とかは?
雨宮 そこはちょっと、お高いでしょう?みたいな物件だったんですけど。その後、中古のマンションでいいのを見つけちゃって。その時はすごく心が揺れましたね。
司会 やっぱりモチイエに対しては強い憧れといいますか、願いや想いがあるんですね。
司会 お二人にとって、おうちって一体なんなのか。どうですか?自分にとってのおうちって、スーさんはどんな風に捉えてますか?
スー もう誰の目も気にしないで済むので、“完全オフ”ができるところですね。人の目を気にしたりすることがなく、完全なるプライベートスペース。だって部屋のなかでは稽古後の力士みたいな格好のままでも、さっき行ったカフェのコーヒーの写真をSNSにアップしたら「おしゃれじゃん!」ってなるじゃないですか(笑)。自分の家っていうのは、ある種、社会と断絶されてる。そこがいいですね。
司会 じゃあ、スーさんにとっておうちというのは一番素の自分が出せるところ?
スー そうですね。一番素に戻れるところですね。
司会 リラックスできる場所なんですね。雨宮さんはいかがですか?
雨宮 わたしはパラダイス。そういう時間がないと疲れますよね。
スー 疲れますよ。特にひとり暮らし始めちゃうとやめられないですよね。
雨宮 よく「どういうサイクルでフリーランスの方って生活してるんですか?」とかって聞かれるんですが、絶対に言えないですね。
スー あぁ~(納得)。
雨宮 面白かったドラマを一日で全話見たりとかして、徹夜して次の日一日寝るとか、そんな生活、言えない…。
司会 実際、お二人はおうちで仕事されることも多いんでしたっけ?
雨宮 わたしは家で仕事してます。
スー わたしは、仕事用にちっちゃい長屋を借りました。限界が来ました。家で仕事をしていると、気がついたら一日パジャマでいる日が続いて仕事に支障が出てきたのと、いろんな仕事をやっているので、その仕事を全部ひとつのところでやると完全にカオスになって、休まるところがなくなっちゃって…。
雨宮 家のなかにいてもいつも仕事が目に入るって、気になっちゃいますよね。
司会 じゃあ、今は家には仕事を持ち込まない?
スー そうなりました。ようやく家のあるべき姿になりました。
雨宮 やっぱり切り替えできるようになりましたか?
スー なりますね。あと無駄にファミレスに行かなくなりました。フリーだとファミレスで原稿書くってなっちゃうんですけど、そんなに行かなくなりましたね。
司会 お二人はフリーでおうちで仕事されたりとか、家じゃダメだから、ファミレスに行ったり家を借りたりとか、あると思うんですけれど。会社勤めの方は、家を出て会社に行くという流れがあると思います。おうちと働き方は、すごく結びついてると思うんですよね。
スー わたしもサラリーマンだったときは、(月曜日から働いていると)どんどん部屋が汚くなって、木曜日くらいに気分が鬱々としてきて。土日は休みたいのに、これを片付けないとまた何かが無いとかが、起こってしまうっていう。で、よし!って一念発起してキレイにしたときの気持ちよさは最高なんですよね。クイックルワイパーやってね、床やシーツにアロマオイルとか垂らしたりして(笑)。お風呂にはバスソルトも入れてね。
司会 働き方と生き方におうちは密接に関係してますよね。会場のみなさんは、おうちになにを求めているかな、と。
スー リラックスを求めている人ってどれくらいいます?(会場に投げかける)
会場 (たくさん手が挙がる)
スー ああ、ほぼ9割。刺激を求めてる人?…いないですね(笑)。
司会 あとは、おうちが自分のステータスや自慢の一部とか、自分が働いたご褒美に部屋を飾りたいとか、キレイにしていたいとか、そういう想いってありますか?
スー すてきな部屋にしたい、自分の世界をそこに実現させたいという方は?(会場に投げかける)ちらほらいますね。
司会 そういうのは、お二人もやられていますか?
スー だいたい失敗しますね!おしゃれなポストカード貼るじゃないですか?で、その前に服をダーっと掛けて、ポストカード見えない、とか。
雨宮 ポストカード、ポスターの類はそうなりますよね(笑)。
司会 わたしも絵を飾ったんですけど、賃貸で壁には穴を開けられないので床においたら、床に傷がついて、本末転倒でもうやめようと思ってすぐ片付けました。
スー やっぱり難しいですよね。あとは、ソファにたくさんのクッションを置くって憧れるけど…いらないっていう。やりたいんですけどね、飾りクッション。
司会 飾りクッションされてる方、いらっしゃいますか?
会場 (数名挙手)
スー おお、いたいた。エリート。ソファ界のエリート!
司会 ちなみに会場のみなさん、おうちにソファってありますか?結構いますね。ソファって家の悩みですよね。欲しいけど、狭い。お二人はどうですか?
雨宮 わたしはないです。
スー 去年買いました。ヤバイですよ。もうソファ買ったらソファの上でしか生きてない。買っちゃったら最後です。楽しいし、居心地もいいし。
司会 ソファは理想の暮らしの第一歩って感じがしますよね。
雨宮 ベッドの上にいるよりは、ソファの上の方が若干マシな気がする。
スー 社会性が出てきますね(笑)。
司会 さっきの(グループワークで発表されてた)方は、ベッドで猫ちゃんと戯れるとのことでしたが、ソファで戯れるっていうのもあるんですか?
発表されていた方 あります。マッサージソファがあるんです。
スー いいな、それもね!いいですね!
司会 先ほどありました、「一人暮らしで住みたい」「誰かと住みたい」という質問、お二人はいかがですか?
スー わたしは誰かと同じマンションに住みたい。同じ部屋より少し距離がある離れとか同じ敷地内の別の部屋が理想。
雨宮 わたしは可能ならばですけど、マンションの隣同士の部屋があったら、間に一個のドア付けておいてくれればそれでいい。お風呂場・キッチン完全別の良い二世帯同居みたいな。
スー あ~、二世帯住宅に夫婦で住むって最高だと思うんですよね。最高の贅沢!
雨宮 ですよね。そんな物件作ったら、絶対結婚率も上がると思う。だって相手の部屋だと思ったら、掃除してなくても気にならないし、髪の毛落ちてるってイライラしなくても済む。あなたの部屋だからって。
司会 そういう部屋ってないんですかね?欲しいですよね。でも、それくらい誰かと住むっていうのはある程度の我慢とか、そういうのが必要なんですね。
スー あと逆もあるんですよ、自分がトイレ使って、そろそろ掃除しないと「トイレの汚い女って嫌だな」って思って掃除したりとか。一人だったら、もうちょっと掃除しないでいけるんだけどな、とか(笑)。
雨宮 今だけは散らかしたままにさせといて、ってくらい疲れてるときもあるじゃないですか。そういうときに入って来ないでってなれる状態がいいですよね。
司会 でもひとりで家を買うことよりも、誰かと家を買うほうがなんとなく現実的かなと思ったりもするんですが。
雨宮 ほんとですか?わたしの周りでは離婚して財産分与で揉めるってやつがあるから…、結婚するときに買うっていうのは…どうなんですかね(笑)?
スー 共同名義にしてる人って少ないじゃないですか。基本どっちかの名義になってるので。“かりそめ”の家ですよ、自分の名義じゃなかったら。
司会 (家を)買う・借りる問題、「モチイエ女子」の響き、憧れ、現実的かどうか、どう思いますか?
スー 経済力があるんだったら、持ってたらいいと思いますよ。
雨宮 特に、この先結婚とか誰かと一緒に暮らすっていうことがあっても、わたしとかスーさんみたいに“自分の家”がほしいって発想があるのであれば、持ってることはなんにもマイナスにならない。事務所にして使ってもいいし、貸したりももちろんできるし。あって困るものではない。
スー わたしの普通のサラリーマンの友達も、35歳くらいのときに一念発起で、突然マンションを買って、どうするの?と思ってたんですけど、38歳くらいで結婚するときに、それを売って。ちゃんとリセールバリューのある物件を買っていて、こっちがぼんやりしてる間に賢いなと思うんですけど、損をせずに結婚してまた新しいところを買ってって。一回買い始めると転職と一緒で、またそれ売ってこっちの賃貸で…とかやり始めるんですよ。
司会 そういうタイミングって、自分から勉強しないとこないじゃないですか?誰も教えてくれませんよね。
雨宮 自分の中でリアリティを持てるタイミングってありますよね。
スー その時には、もう遅かったりするんですけどね。不動産に関しては、日本はもっと早い段階から英才教育したほうがいいですよ。
(後編に続く)
作詞家・コラムニスト・ラジオパーソナリティ。生粋の日本人。
著書「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」で第31回講談社エッセイ賞を受賞。土岐麻子アルバム「Bittersweet」ではコンセプトプロデューサーもつとめた。TBSラジオ「ジェーン・スー 相談は踊る」(土曜19:00~21:00)では、毎週リスナーから届く様々なお悩みを受け止め続けている。
ライター。編集者を経てフリーのライターになり、女性としての自意識に向き合った自伝的エッセイ『女子をこじらせて』(ポット出版)を上梓、「こじらせ女子」が2013年度の新語・流行語大賞にノミネートされる。 モチイエ女子webにて、コラム「理想の部屋まで何マイル?」を好評連載中。
【プロフィール写真=松沢寫眞事務所】
TBSテレビ所属のアナウンサー。大分県出身で、2009年にTBS入社。
現在は、「ひるおび!」(月~金、11:00~13:50)の全曜日を担当中。
相談は踊る、されど進まず。だったらせめて、LET‘S SO DANCE!(相談ス!)作詞家にしてコラムニストのジェーン・スーが、いろんなお悩みを勝手に身を乗り出してチャチャッと解消!平日のモヤモヤをみんなで話してスッキリしたら、きっとあしたはいい日曜日。
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